ああ神様 願わくは















 埃っぽい部室の床に顔を押し付けられて、這いつくばる。
優しくはないけれど、暖かな手が腰を強引に引き寄せた。

 待っていた瞬間に身体は震えるが、心は千切れそうなほど痛い。

「ふぁ!」

ぐっと慎吾さんが押し入ってくる。
 いい加減慣れた、その内臓を侵食する感覚に胃がせり上がるような錯覚を覚える。
そういう器官じゃないから仕方ないんだろうか?
慎吾さんが侵入してくる最初の瞬間だけはどうにもヘンな感じだ。

 それなのに、ただの代用品にされてるだけだと解っていても、こうして触れていられるのが嬉しい。
 オレはきっと、とうにどっか壊れているに違いない。




「なに、オマエ、こんなに興奮、し、て」


 笑った気配が背後からする。
その言葉に顔に血が上った。

 一旦入ってしまえば、荒い息の間のかすれ声にすら感じてしまうのが自分でもどうしようもない。

 破裂しそうに屹立したものから滴る汁が、埃くさい部室の床に垂れている。

 慎吾さんの腰がある一定のリズムで動くのにどうしようもなく感じて、快感にどうにかなってしまいそうだ。
 ともすると口から漏れてしまう声を聞かれたくなくて、急いで腕をあてて、声を塞ぐ。
腰にかけられた慎吾さんの指から伝わる熱にすら翻弄される。


「しん・・・・ご、さ、・・・・・・・・・さわっ・・・・!」
「だァー、め、だ。」


 それは慎吾さんは別にオレを好きで抱いてる訳じゃないもんな。
和さんに可愛がられるオレを傷つけたいんでショ?
和さんに対する慎吾さんのささやかな復讐だよね。

 でもそれでもいいよ。


「・・・ぐっ、・・・・うっ」

 慎吾さんの刻むリズムが早くなって終わりが近いことを教えてくれる。


「くっ・・・・・あっ!」

 一層深く突かれて、オレの中の慎吾さんが弾けた。
そのまま絞り出すようにオレの腰を強く引く。
オレの中にすべての熱を一滴残らず出しつくす。
 こっちはほっとかれて処理できない熱に身体が引きずられている。
暗いせいで尚更に二人の呼吸だけが響いて、自分の荒い息に媚が混ざるような気がして、この呼吸を止めてしまいたいくらいだ。
 欲望のままに慎吾さんに縋り付いて、言いたくないような事を言ってしまいそうになるから。
 

 いままで背中からオレを犯していた慎吾さんがゆっくりと中から出て行く。

「!」

 身体がぶるり、と震えた。
手がどうしようもなく追ってしまいそうになるのを無理矢理押さえ込む。
自分で自分の腕に爪を立ててしまうほどに引き止めたい。







 犯るだけ犯ってオレの事などお構い無しで、慎吾さんは身づくろいするとさっさと部室を後にする。
今に始まったことじゃない、いつものことだ。

イかして貰えないまま放り出されるのもいつもの事。


 もう涙なんて、とうに出ないよ。

 悔しいとか悲しいとか、そんなのは随分前に通り越して、押しつぶされそうなほど苦しい。
泣いても喚いてもどうにもならない。

 『泣いたら楽になる』なんてのはウソだ。

 どんなに泣いても楽になることなんて無かった。
 少しづつ積もった想いはオレのこころを絞めつけて息も出来ないほど苦しくさせる。


 この気持ちが叶う事は多分ないと解ってる。
 それはあの人の願いが叶う事がないのと同じくらい確かなことだ。





 結局自分で抜くしかなくて手を伸ばしかけたその時に、バサリ、と入り口で音がした。
やばっ、と思ったがもう遅い。

「じゅ、準さん!!」

 此方からじゃ暗くて影しか判らないが、声と、ひょろりと高いシルエットに利央だと解った。
少しほっとしたが、あっちは半裸で床に転がる、尋常じゃないオレの姿に動揺しているのが判る。

 呆然と眺めているらしくて、マヌケな間の悪さが利央だよ、などと思ったらどうにも可笑しくなった。
くすくすと笑いが漏れる。
それにビクリと反応したきり、その場を動けずに震えているのがわかった。


 ばっかじゃねーの


 少しばかり自虐的かもしれないと思いながらも、もう全てどうでも良いような投げやりな気分だ。
動けない利央にこっちから声をかけてやる。


「来いよ」

「じゅ、・・・・・・準さん?!」
「ヤりたいんだろ?オマエ、オレのこと、好きだもんナ」
「なっ、何が・・・・・?!」


 声が震えてる。
そりゃそーだよな、今のオレは下は全裸にシャツはおっただけの、もう強姦されたみたいな姿だし。

 可笑しくなる。
強姦?そんな風に見えんのかな?お互い合意の上だけどね。
だいたい台詞からして、慎吾さんに誘われたときとほぼ一緒じゃねぇ?

 どこまで毒されてるんだ?
くすくすと笑い続けるオレに、利央が恐る恐る近寄ってきて、顔を覗き込む。




「準さん?」


 側まで来てやっと月明かりで顔の表情まで判る。
月明かりにも青ざめた顔に、でっかい瞳は少し潤んでいる。
心配そうにしていた顔を引き寄せて、利央の手をオレのに触れさせ耳元で囁いた。

「利央、イかせてくれよ。」


 びくりと強張る身体に、逃げられないように絡み付いて耳朶を舌でねぶる。
利央の身体から震えと一緒にためらいが伝わってきて、なお一層残酷な気分にさせる。

 ためらうなよ、滅茶苦茶にしてくれよ

利央の脚の間に太腿を押し付けたら、しっかり反応してるじゃないか。
首を引き寄せたら、利央の喉がごくりとなった。

 その後はもう済し崩しだ。

 突然壁に押し付けられるみたいにして、唇を息もままならないほど貪られる。
 ふわふわと可愛い外見に反してキスが上手い事に驚いた。
口の中で蠢く利央の舌に、もともと消えてはいない熱が簡単に戻ってくる。


「利、お・・・・・・や・・・く!」


 オレの懇願に利央が跪き、なんのためらいも無くつるりと口に含んで熱心に舐めしゃぶる。
刺激に立っていられなくなり、掴まるものが欲しくて、跪く利央におおいかぶさるように縋りついた。
 形どおりに這わせていた舌が、きつく吸い上げる。
その刺激にもともと限界だったオレは難なく達してしまった。

 思わずイってしまったけれど、吐き出すのかと思いきや・・・・・・・え?飲んだ・・・

「・・・・りっ・・・・・!飲んだの?」
 どうやら飲み込んだらしく、咽る利央に呆れるやら驚くやらで正気に返った。

「おっま、ソコまでしろなんて言ってねぇぞ・・・・・・」


 あきれているオレを利央の腕が引っ張った。自分の上に抱きかかえるようにして、キスをねだってくる。


「オマっ、さっき飲んだ、」
「やだ」


 嫌がるオレを無理矢理ねじ伏せて身体を密着させてくる。
利央の熱が下半身を這い登るみたいな感覚に巻き込まれて抵抗するすべもない。
おまけに利央はキスが上手い。

 口の中に広がる自分の味に複雑な気分・・・・・・・・自分で自分の飲むなんてアリエナイ。

「準さん、」

 気を散らさないで、と利央がオレの唇を甘噛みする。

「ぅ、ん」

 背中をなで上げていた手がゆっくりと後に回る。
反射的に身体が逃げようとしたけど、利央がそれをさせない。
 やわやわと指が肉を押しのけ差し込まれたけれど、すでにほぐす必要なんかない。

「あっ」

 膝の上をまたがせる格好で利央が胸にキスしていたのを途中でやめた。
多分さっきまでヤッてたんだから気づくだろう。いや、オレの格好を見た時点で気づいているはずだ。 
 そのまま焼けつくような視線を感じる。
それから逃げたくて利央の肩に顔を寄せようとしたけれど、腰に回った腕がそうはさせない。

「り、おっ」


 抗議しようとしたら、瞳に月の光が反射したみたいにキラリとしたのにギクリとしてしまった。
泣いてるのかと思ったけれどそうじゃない。


 ・・・・・・オマエ、もしかして妬いてるの?
 笑っちゃうよ。
オレと慎吾さんはそんな関係じゃないんだよ。



 何を思ったのか、ちょっと乱暴に床に倒してきつく噛付くみたいなキスをしてきた。

あーあ、キレちゃったよ、こいつ。





 利央のキスが熱ければ熱いほど、心の中が冷たく冷えていくのは何故だろう。
人の肌の暖かさに、容易に慎吾さんを想いだす。
 利央の熱に、これが慎吾さんだったら、なんて馬鹿馬鹿しすぎるじゃないか。
 
「あ・・・っ・・」
「準さん」



 さっきイったにも関らず、利央の愛撫に身体は昂ぶる。
利央が耳元で名前を囁く。
その祈るみたいな響きに、自分の姿が重なる。



 そんな風に名前を呼ぶな!


 だから、


 だから、あの人はオレが最中に名前を呼ぶのを嫌がるんだ




 
「準さ、ん」





 こっちが切なくなるんだよ


 名前を呼ぶな。






 ・・・・・・・慎吾さんもオレとセックスしながら和さんを想ったりするんだろうか?

「・・・ん・・ごさ・・・・・・」
勝手に涙がこぼれた。


                          (冬コミ、オフへ続く)



                                                 ( 6th Oct 2007 )
                                                 30th Nov 2007 改定










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 日記で一部予告した10/7のスパーク合わせのペーパーでした。
 本を目指しましたが流石に3日では無理でした・・・・・・orz
そんな訳で続きは冬コミにて!笑。もうトシだから突貫工事は無理だ、無理だよ、オイちゃん!・・・・・それがやっと解りました…いまさら…
 
 時間が無かったので話の決まってるところから書いて行ったのですが、もう最後は出来てます。
10数ページは書けてんねん・・・・・・・もうその倍くらいで出来上がりじゃないかな。
熱にうかれされてるうちに書いてしまわねば!!

                                                          すすき

 表紙に空から光がさす写真を入れてフルカラーにしようかと思ったのですが、題名と相まって召されそうだったので止めました。笑)))  別にダレも死にませんよ。
                                                       12/13追記 







■■ ご注意 ■■

以下は 和己 ← 慎吾 ← 準太 ← 利央 の利央準ですので悪シカラズ。
慎吾と準太はカラダの関係というイタイ話のため苦手な方はご利用をお控えクダサイ。
高校生ですのでエロは薄めに仕上げております(当社比)


ご試食ですのでごく一部となっております。

発行に際して一部改定いたしました。
見れば見るほど直したい・・・・ハナシの流は変わってません。